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■乳がんとは
乳腺の上皮細胞にできるがんのことをいいます。
乳がんは組織学的に、非浸潤がん、浸潤がん、パジェット病と大きく3つにわけることができます。
非浸潤がんとは、乳腺の内部で広がったもの、浸潤がんとはがん細胞が乳腺細胞や基底膜を破って出て広がったもの、パジェット病とはがん細胞が乳頭や乳輪にできるものをいいます。
非浸潤がんと浸潤がんには、乳管や小葉が含まれ、乳がんの中でもっとも多いものです。
日本における乳がんの患者数は欧米と比べると1/4と低いのですが、生活の欧米化により増加の一途をたどり、現在では女性のがん発生率でもっとも多いものになっています。

■原因
乳がんの原因ははっきりとはわかっていませんが、乳がんにかかりやすい人の条件、リスク因子はわかっています。
アジア人は白人に比べて低いのですが、アメリカ在住の日本人の罹患率が高いことから、食生活に関係し脂肪摂取量と比例しているといわれています。
また、早い初経、遅い閉経、閉経後の肥満、高齢初産などが高いリスクといわれ、出産回数が増えるとリスクは低下し、授乳歴がある場合もリスクは低下することがわかっています。
これらはエストロゲンが関与しているといわれています。

■乳がんの進行度による分類
【0期】
がん細胞が乳管や小葉の中にとどまっている非常に早期のがんのことをいいます。

【T期】
しこりの大きさが2p以下で、リンパ節に転移がない早期のがんのことをいいます。

【UA期】
しこりの大きさが2cm以下で、リンパ節に転移があるもの、またはしこりの大きさが2.1〜5.0cmで、リンパ節に転移がないものをいいます。

【UB期】
しこりの大きさが2.1〜5.0cmで、リンパ節への転移があるもの、またはしこりの大きさが5.1cm以上で、リンパ節に転移がないものをいいます。

【VA期】
しこりの大きさが5.1cm以上で、リンパ節に転移があるもの、またはしこりの大きさにかかわらず、リンパ節への転移があるものをいいます。

【VB期】
しこりの大きさにかかわらず、しこりが肋骨や肋骨の間の筋肉に広がっているか、皮膚が発赤し、むくんだり、皮膚にしこりが浸潤して、潰瘍をつくっているもの、またはしこりの大きさにかかわらず、鎖骨上あるいは胸骨周囲にリンパ節への転移があるものをいいます。

【W期】
他の臓器に転移している段階のものをいい、骨、肺、肝臓、脳、などに転移することがあります。

■症状
乳がんの多くは、しこりがあることに気付きみつかることが一般的で、その他に乳頭から血液や分泌物がある、乳頭や乳輪部にかぶれやただれがみられる、乳頭や乳輪部の皮膚が引きつったり、えくぼ様のくぼみができたりします。
さらに症状が進むと、潰瘍ができ出血や分泌物がみられ、乳房が赤く腫れることもあります。

■検査・診断
受診すると問診がおこなわれたあと、次のような検査がこなわれます。
問診では、乳がんリスク因子に関係する、月経、妊娠、分娩などの他に血縁者にがんにかかった人がいないかどうかを尋ねられます。
視診と触診により乳頭、乳輪の皮膚の状態などを観察し、次に乳房全体の触診がおこなわれ、しこりやリンパ腺の腫れなの有無を診察されます。
しこりがみつかると、マンモグラフィーという乳房専用のレントゲン検査がおこなわれ、しこりの大きさや状態、浸潤の状況などを調べます。
放射線検査ですから妊娠の可能性のある方は検査の前に医師に伝えてください。
その他、超音波検査でしこりの大きさ、広がり方、浸潤の程度などがわかります。超音波検査は放射線ではありませんから妊娠中の方でも可能な検査です。
問診、視診、触診、マンモグラフィー、超音波検査などでしこりがあることが確認できると、しこりに注射針を刺して細胞を採取し、顕微鏡でそのしこりが良性か悪性かを調べる細胞診がおこなわれます。
細胞診の結果判定はクラスT〜クラスX分けられます。
クラスTは正常細胞のもの、クラスUは良性のしこりで悪性を疑う所見がないもの、クラスVは良性の可能性があるが、悪性の可能性もあるもの、クラスWは悪性の可能性が高いもの、クラスXは悪性のもの。
*組織診…細胞診で確定診断ができない場合におこなわれ、局所麻酔を使ってしこりの一部を採取する方法で採取した組織を顕微鏡で調べ良性か悪性か検査します。また別の方法としてマンモトーム生検という方法があります。

■治療
乳がんの治療法は、手術療法が基本で、手術療法の前後にホルモン療法、化学療法や放射線療法がおこなわれます。

【手術療法】
手術方法には、定型的乳房切除術(ハルステッド法)あるいは胸骨傍リンパ節も摘出する拡大乳房切除術などがありますが、最近はおこなわれておらず、非定型的乳房切除術(胸筋温存乳房切除術)である、大胸筋を切除しないペイティ手術および小胸筋も切除しないオッケンクロス手術が主流となっています。
乳房温存療法では術後に放射線療法がおこなわれます。

【放射線療法】
乳がんは放射線の効果が高く、再発率も低下します。
手術で切除された細胞が女性ホルモン受容体が陽性の場合には、抗エストロゲン薬を使ってがん細胞の増殖をおさえます。

【化学療法】
化学療法は、転移や再発予防のために手術後におこなわれたり、手術前にがん細胞の成長を抑えるためにおこなわれます。

■アドバイス
・乳がんの早期発見のために、自分で定期的に乳房をさわって、しこりがないかどうかのチェックしましょう。
・乳房を失ったことによる精神的ショックはパートナーの理解と支えが必要です。・乳がんは治癒率が高いことと、治療方法に本人の意思が重視されますから、告知されることがほとんどです。
・病状によっては、治療方針を自分で選べる場合がありますので医師から詳しい病状の説明、治療方法などを十分聞き、納得したうえで治療を受けましょう。
・医師の説明に納得できない場合は、セカンドオピニオンとして別の医師の考えを聞くことができます。
・治療のために乳房を切除してしまっても、乳房を再建する手術を受けることが可能なケースも多いですし、専用のブラジャーやパットなどがありますから前向きに活用しましょう。