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無事に出産し、わが子を抱きしめ、母になれた幸せな時期のはずなのに、わけもなく涙が流れたり、イライラしてみたり、赤ちゃんが泣いているのにただながめていたり…
産後にこのような精神的な症状を訴える人は少なくありません。
妊娠・分娩をとおして大きく変化した身体は、分娩が終わるとすぐにもとに戻りはじめ身体の中でも妊娠に伴って変化したホルモンの急激な変化がおこっています。女性ホルモンの変化は、精神面にも影響を与えます。
産後は、分娩による疲労とホルモンバランスの急激な変化に加え、母親としての役割、環境の変化などが精神面に大きな負担となり、これらが産後の精神障害を引きおこす原因となっています。
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| ■マタニティブルーズ |
マタニティブルーズとは、出産後3~4日目頃から1~2週間の間におこる一過性の軽いうつ状態をいいます。
出産後の女性の60~80%にみられます。
分娩直後のホルモンの急激な変化が関係していると考えられていますが、はっきりした原因はわかっていません。
理由もないのに涙が出てきたり、イライラしたり、感傷的になったり、感情の起伏が激しかったり、不安を感じたり、自信喪失感、夫への敵意的感情などの精神症状の他、疲労感、集中力の欠如、頭痛、頭重感、不眠、食欲低下などがみられます。
これらの症状は自然に消失し、とくに治療の必要はないといわれています。
しかし、マタニティブルーズと産後うつ鑑別が難しいため症状がおさまらない場合は受診が必要となります。
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| ■産後うつ |
産褥期における精神障害の中でもっとも多いものが産後うつで、出産後の母親の15%前後にみられるといわれています。
発生時期は、出産後2~3週間目が多いが、産後3日目で発生するケースや産後5ヶ月目に発生するケースもあります。
症状は、悲哀感、自責、無力感、疲労感、不安感、集中力の欠如、無関心、適応能力の低下などがみられます。
さらに重症化すると、パニック発作、絶望感、自殺念慮、妄想や幻覚がみられるようになります。
育児に自信がもてなくなったり、赤ちゃんを可愛いと思えなくなったりなど育児に関する症状がみられ、マタニティブルーズと思われ、悪化することもあります。
本人の自覚は乏しいため、家族は早めに専門医の診察を受ける必要があります。
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| ■産褥精神病 |
分娩500~1000回に1回くらいの頻度でおこります。
発生時期は、出産後3~14日の間に急激におこり、2~3ヶ月の経過で治るのですが、再発率が高く、次の出産においても1/3におこり、また非産褥期においても再発がみられます。
症状は、不眠の後に急激に幻覚妄想状態や錯乱状態に陥り、ときには意識障害が加わることもあります。
産褥精神病は母子双方の命にかかわる状況に至ることがあるため、早急に受診・治療が必要となります。
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| ■既往精神疾患の再発・症状の悪化 |
既往に精神障害がある女性の場合、40%が妊娠中に再発・悪化するという報告もあります。
うつ病や分裂病などの既往がある女性は、妊娠希望をする場合は精神科医と産科医の双方に相談し、予防・管理をおこなってもらいましょう。
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| ■器質疾患に伴う精神障害 |
*分娩時の大出血のためにおこるシーハン症候群は、うつ状態、幻覚妄想状態、意識障害などの精神症状がみられることがあります。
*分娩後に、バセドウ病、橋本病などの自己免疫疾患が発生したり、症状が悪化しやいということがわかっています。
甲状腺ホルモンがうつ病に関与しているケースが少なくなく、甲状腺機能低下症は注意が必要です。
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| ■アドバイス |
・妊娠・出産という大仕事を終えた身体は、産後1ヶ月くらいかかってもとの状態にもどります。
この急激な変化は心にも大きく影響し、不安定な状態にあります。
・さらに母親としての役割が時として重圧となったり、人間関係、社会環境の変化などさまざまなストレスが加わると精神面に大きな影響を与えます。
産褥期はこのように、精神状態が不安定な時期ですから、夫、家族、友人などにつらい気持ちを話すよう心がけましょう。
・子育てと家事の両方を完璧ににこすことは難しいですから、上手に手を抜いたり、ご主人に協力してもらいましょう。
・ときには気分転換も必要です。
・育児サークル、サポートセンターなどに参加することはいいことです。
・夫や家族の方は、母親のサポートをおこない、精神的に障害が出ているようであれば早めに専門医に相談しましょう。
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